You are the one


You are the one who makes me happy♪
彼女は部屋を掃除しながら口ずさむ。
カーペンターズの歌だ。
これは彼女の機嫌がいい証拠。
「お掃除です。そろそろそのソファーをあけていただけますかしら、You are the one?」
彼女は僕の目をじっと見て言う。
はいはいわかりましたよ、という感じで、僕はゆっくりソファーからテラスの方へと移動する。
彼女がまた口ずさむ、
You are the one who makes me happy♪
実のところ、彼女の歌はこのフレーズだけ。
あとは壊れたレコードのように延々と同じフレーズが繰り返される。
歩き出した僕に向って彼女は語り掛ける、
「あなたは私を幸せにしてくれているのよ。そこのところちゃんとわかってるかしら、You are the one?」
さてさて、ここはめんどくさいふりをしながらも 僕は彼女にちゃんと返事をしなくちゃいけない。
「ワン!」
そして精一杯 尻尾も振って。